トピックス 2016年10月13日
遺言における「遺贈する」と「相続させる」の文言について。
言葉の問題でしかないのであるが、不動産登記上、やはり問題が生じる。
相続人に対して特定の不動産を「遺贈する」とした場合と「相続させる」とした場合で何が異なるか。
登録免許税については、何れも固定資産税評価額に対し1000分の4を乗じた額であり、どちらも一緒である。
しかし、申請方法については、
「遺贈する」とした場合には不動産をもらう人と相続人(あるいは遺言執行者)の共同申請となり、
「相続させる」とした場合には不動産をもらう人の単独申請となる。
どちらが楽(負担が少ない)かといえば、当然単独申請の方が楽である(負担が少ない)。
そこで、できるだけ「相続させる」としたいのが本音なのであるが、
時には先順位の相続人がいて遺言作成の際に「相続させる」と記載できない場合がある。
具体的には、子がいない人が、兄弟姉妹の中の1人に不動産を譲りたいと考えているのだが、
遺言作成の際にはまだ父母が存命の場合など。
この場合、兄弟姉妹よりも父母の方が相続の順位が先なので、
相続人でない兄弟姉妹に「相続させる」という遺言はおかしい、となる。
しかし、実際には、遺言者が亡くなるとき父母は先に亡くなっていて兄弟姉妹が相続人となることが多い。
そのため、相続人である兄弟姉妹に「相続させる」という遺言は全く問題がない。
このような問題を解決するにはどうすればよいか。
答えは、「○○に不動産を遺贈する。ただし、○○が相続資格を得た時は相続させる。」とすればよい。